原油の大幅安がもたらす新世界秩序

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 原油価格がとうとう60ドルを切った。価格下落のきっかけは世界経済の失速懸念だが、根底には米国のシェール革命による供給過剰がある。投機的な動きによって上下はあるものの、市場関係者の多くは、中長期的に原油価格の低迷が続くと予想している。 原油価格の下落は、石油関連事業者や産油国にとっては痛手だが、世界経済にとっては基本的にプラス要因となる。特に原油価格の下落が消費拡大に直結する米国はかなりの恩恵を受けるだろう。ロシアやベネズエラなど、反米 [...]

官製コーポレートガバナンス強化策の行方

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 日本の企業統治(コーポレートガバナンス)をめぐる状況が急展開を見せている。 きっかけはアベノミクスの成長戦略にコーポレート・ガバナンス強化策が盛り込まれたこと。最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、この動きを受けて、投資先企業への関与を強化する行動規範(スチュワードシップ・コード)導入を表明した。生命保険各社も「モノ言う株主」として、配当の増額などを求めていく姿勢を明らかにしている。 日本企業は長年にわた [...]

露天然ガスの中国輸出で、ウクライナ問題に地政学的変化

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 ウクライナ情勢をめぐるロシアと欧州の地政学的な関係が微妙に変化している。きっかけとなったのは、ロシアと中国が締結した天然ガスの長期供給契約。これまでロシアは、欧州に対して天然ガスの供給を制限することをちらつかせて交渉を進めてきたが、欧州向け天然ガスはロシアにとって数少ない外貨獲得手段でもあった。 欧州向けのガス供給を制限すれば、今度はロシアが打撃を受けてしまうというジレンマを抱えていたが、中国という大口供給先を確保することに成功した。 [...]

異次元緩和から1年。その成果を検証する

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 日銀が量的緩和策を実施してからちょうど1年が経過した。量的緩和策は円安と株高をもたらしたが、本来の目的である実質金利の低下による貸出の増加にはまだつながっていない。 一方、消費者物価指数は上昇に転じており、デフレからの脱却には成功した。だがこれは円安による輸入物価上昇が主な原因であり、持続的な経済成長による自然な物価上昇とは言いにくい。市場では追加緩和の実施に注目が集まっているが、これが設備投資の増加や消費の拡大につながっていくのか見 [...]

日本の財政をシミュレーションしてみると

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 内閣府は2014年1月20日、経済財政に関する中長期の試算を公表した。国際公約にもなっている2015年の基礎的財政収支赤字半減という目標は達成の道筋が見えてきた。だが2020年に黒字化というもうひとつの目標は今のところ達成が難しい状況だ。 政府が一般的な財政収支ではなく、基礎的財政収支を重視するのには理由がある。利払いも含めた一般的な財政収支で議論してしまうと、政府債務が過大な日本の場合、財政黒字化の道筋を示すことが極めて困難なのであ [...]

アベノミクスの10カ月を検証する(その3 成長戦略)

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 安倍政権のスタートから10カ月が、日銀による異次元の量的緩和の開始から半年が過ぎようとしている。安倍政権に対する国民や市場の期待度は高く、首相就任前後から株価は大きく上昇した。だが今年6月以降、株価は伸び悩んでおり、市場は安倍政権の今後に対して微妙な評価を下している。 安倍首相は日本経済の復活を内外に強くアピールしており、政権の性質には多分に情緒的な側面が見られる。そのためか、アベノミクスの評価をめぐっては、やや感情的な議論も見受けら [...]

アベノミクスの10カ月を検証する(その2 財政政策)

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 安倍政権がスタートしてから10カ月が経過した。安倍政権に対する国民や市場からの期待度は高く、首相就任前後から株価は大きく上昇した。だが今年6月以降、株価は上値が重い状態が続いており、市場は安倍政権の今後に対して微妙な評価を下し始めている。 首相は日本経済の劇的な復活というストーリーを内外に強くアピールしており、政権には多分に情緒的な側面がある。そのためか、アベノミクスの評価をめぐっては、感情的な議論も見受けられる。アベノミクスは初期段 [...]

アベノミクスの10カ月を検証する(その1 金融政策)

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 安倍政権がスタートしてから10カ月が経過した。安倍政権に対する国民や市場からの期待度は高く、首相就任前後から株価は大きく上昇した。だが今年6月以降、株価は上値が重い状態が続いており、市場は安倍政権の今後に対して微妙な評価を下し始めている。 首相は日本経済の劇的な復活というストーリーを内外に強くアピールしており、政権には多分に情緒的な側面がある。そのためか、アベノミクスの評価をめぐっては、感情的な議論も見受けられる。アベノミクスは初期段 [...]

シリア問題で見えてきた新しい世界秩序

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 オバマ米大統領は8月31日、ホワイトハウスで声明を発表し、シリアに対して軍事介入を実施する方針を明らかにした。だが軍事介入には「議会の承認」を求めるとし、実質的に米議会が審議を再開する9月9日以降まで最終決断を先送りした。 軍事介入を実施するのかは議会の結論次第だが、状況によっては介入の中止、あるいは極めて限定的な範囲での介入にとどまる可能性も高くなってきた。 オバマ政権が中東問題に消極的になっている背景には、米国で進むシェールガス革 [...]

日本の財政危機をめぐる虚実

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 今年の秋にはいよいよ消費増税の最終判断が行われる。消費増税に関する法律には景気条項がついているとはいえ、基本的に来年4月からの引き上げはほぼ規定路線となっている。その最大の理由は限界まで来たといわれる日本の財政問題である。 日本の公的債務は計算方法にもよるが、ほぼ1000兆円の水準に達しており、公的債務のGDP比は200%を超えている。これは国際的にも突出した数字であり、このままでは日本の財政は破綻してしまうといわれている。これが消費 [...]