ダウ1万7000ドル突破の解釈

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 ダウ平均株価が2014年7月3日、とうとう1万7000ドルの大台を突破した。同日に発表された雇用統計の数字が極めて良好だったことから、市場では米国経済の完全復活はより確実なものになったと認識された。FRB(連邦準備制度理事会)はこうした状況を受け、2008年から続けてきた量的緩和策をとうとう終了させる。

 米国経済は、リーマンショック対応という緊急事態モードを脱出し、長期的な拡大フェーズに入りつつある。しかし、このことが、すぐさま株価上昇につながるのかは未知数だ。目先の株価は、これまでのFRBに緩和的スタンスとそれに伴う低金利に支えられていたが、今後は金利上昇がより現実味を増してくるからだ。

労働市場には人が戻ってきた
 米労働省が発表した6月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比28万8000人増と大幅な増加となった。併せて発表された5月と4月の改定値はそれぞれ22万4000人増、30万4000人増となり、過去に遡って好調であることが示された。さらに注目すべきは失業率である。

 6月の失業率は前月よりも0.2ポイント低下して6.1%となり、5%台突入は時間の問題となった。米国は冬の大寒波や春以降続く洪水などで景気の失速が懸念されていたが、足元の景気は順調であることがあらためて確認された。

 失業率については、職探しを諦めた人が労働市場に出てこないことが数字を押し下げているとの見方が根強く存在していた。だが、このところの雇用統計では、就業者数の伸びが顕著であり、一旦職探しを諦めた人も職場に復帰していることをうかがわせる。労働市場からの退出という懸念は薄れつつある。

ダウはとうとう1万7000ドルの大台を突破
 こうした状況をうけて、7月3日のニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価がとうとう1万7000ドルを突破した。一旦は急落していたモメンタム株(ネット系など勢いで買われる株)が復活してきたことが主な要因である。

 米国はこれからサマーラリーの季節を迎えるが、ダウの大台突破でこのまま株価が一本調子で上がっていくのかというと必ずしもそうではなさそうだ。
 その理由は、これまで続いてきた低金利に対する解釈が微妙になってきたからである。米国株はリーマンショック以降、順調に上昇を続けてきたが、それはFRBの量的緩和策と低金利政策に支えられてきたといってよい。

 米国株には何度も高値警戒感が意識されたことがあったが、FRBによる低金利政策がこれを覆してきた。だがこうした低金利政策もそろそろ終わりに近づきつつある。きっかけはFRBによる量的緩和策の終了である。


量的緩和策の終了で注目は長期金利へ
 FRBは2014年7月9日、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録を公開した。それによると、2008年から継続してきた量的緩和策を今年10月で終了することについて一致している。

 FRBは今年1月から量的緩和策の縮小を開始。月あたり850億ドルだった資産購入額を徐々に縮小させ、現在では450億ドルまで減らしている。FRBでは、さらにこれを減少させ、10月には購入額をゼロにする予定となっている。

 FRBが量的緩和策を終了させれば、当然、次の焦点は利上げのタイミングということになる。今回の議事録では利上げの時期に関する記述はなく、FRBがいつ利上げに踏み切るのか現時点では不明である。だが少なくとも来年には利上げを実施するとの見方は多く、株式市場もその動向を材料視するようになってくる。

株価の見通しは逆に不透明に
 米国の長期金利は、景気の回復状況と比較するとかなり低めだ。2014年の年初には3%を突破していたが、現在では2.6%前後となっている。

 金利が低い理由は、基本的にはFRBの緩和的スタンスの継続姿勢にあるといわれている。だが一方では、米国の潜在成長率を反映しているとの指摘も出ている。
 長期金利は、長いスパンではその国が持つ名目成長率に収れんしてくると考えられている。もしそうなのだとすると、現在の低金利は、金利が低すぎるのではなく、米国経済の成長力の方が衰えてきたことになる。

 もしFRBの緩和姿勢が原因なのだとすると、いずれ金利は上昇することになり、これは株価にとって必ずしもプラスの材料とはならない。少なくとも低金利を材料に上昇した相場であれば、一旦は調整となるだろう。一方、潜在成長率の低さが原因なのだとすると、今度は業績面で株価の上昇余地が少なくなってしまう。

 米国経済が次の拡大フェーズに入ろうとしているのはほぼ間違いないが、株価の見通しは逆に難しい状況になったといえるだろう。

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