日米株価に変調の兆し?カギはモメンタム株

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 日米株式市場の雲行きが怪しくなってた。日経平均は年初に1万6000円を超えていたが、断続的に下落し、現在は1万4000円台となっている。一方、ダウ平均株価は2年前から順調に上昇を続けてきたが、ここにきてその上昇ペースが鈍ってきている。

 米国株の変調はダウよりもNASDAQでより顕著である。NASDAQ総合指数は、3月には4300ポイントを超えていたが、その後、急落し、一時は4000ポイント近くまで下がった。
 この原因はネット株やバイオ株に代表される、いわゆるモメンタム株(勢いだけで買われる銘柄)の急落が原因といわれている。今のところNASDAQだけの下落にとどまっているが、一部の市場関係者はダウへの波及を懸念している。

 東京株式市場は、売買の7割が外国人投資家となっており、国内の状況だけで株価を動かすことができない。日経平均は、NASDAQに先んじて下落しており、動きの早い海外のヘッジファンドが、米国に先駆けて投資を手仕舞いした可能性もある。当面は慎重なスタンスが賢明と考えられる。

株価と為替の連動性に変化が
 日経平均は、安倍政権のスタート以降、順調に上昇してきた。2012年末に9000円前後だった株価は一気に上昇し、2013年の年末には1万6000円を突破している。だがその後株価はずるずると値を下げており、4月に入ると一時1万4000円を割る状況となった。

 市場では日銀の追加緩和策を求める声が大きいが、仮に日銀が追加緩和に踏み切っても、前回のような大幅な株価上昇が実現するかどうかは不透明だ。なぜなら、これまで明確な相関があった円安と株高の関係に変化が見られるようになってきたからである(図1)。

 日銀の量的緩和策は円安をもたらしたが、当初は円安によって輸出企業を中心に業績が急回復すると考えられていた。だが日本企業の海外進出はかなり進んでおり、円安になっても、当初考えられていたほどの業績回復には結びついていない。逆に円安による輸入物価上昇の悪影響が出てきており、これ以上の円安が、必ずしも株高にプラスになるとは限らない状況となっている。
 これまでの株価上昇は、量的緩和策と円安がもたらす効果への期待感であって、追加緩和を行っても、それほど株価は上昇しない可能性がある。


外国人投資家は本当にアベノミクスを見限ったのか?
 今回の株価下落の引き金を引いたのは外国人投資家であったとする見方は多い。外国人投資家は安倍政権の成長戦略に期待しているが、成長戦略の頓挫によって、日本市場を見限り始めたという解釈である。

 安倍政権内部でもこうした見方は意識されているようだ。麻生財務相は2014年4月16日の衆院財務金融委員会において、日本の公的年金が債券から株式にシフトする見通しであることに触れ、こうした動きが出てくれば、株式市場では「外国人投資家が動く可能性が高くなる」と発言している。

 確かに日本の株式市場は、売買の7割近くを外国人投資家が占めており、彼等の動向で相場が決まるという側面が強い。だが現在の日本市場に参入している外国人投資家は、長期投資を前提とした投資家ではなく、短期的な利ざやを稼ぐ、いわゆる投機筋が中心といわれる。こうした投資家にとって、成長戦略がそれほど重要な意味を持っているとは考えられず、売りと買いのタイミングを切り替えるひとつの材料にしか過ぎない可能性が高い。

NASDAQの急落が意味すること
 短期的な資金が中心ということになると、彼等の動向は、本国である米国の株式市場に大きく左右されることになる。いわゆるリスク・オンのモードでは、日本への投資も積極的になるが、米国市場のパフォーマンスが低下し、リスク・オフの状態になると、とりあえず資金を引き揚げてしまう。結局、日本株の動向も、米国の株式市場の見通し次第ということになる。

 その点では少々気になる状況が続いている。ダウとNASDAQの株価が乖離しているのだ。NASDAQにはいわゆるモメンタム株が多く、ダウよりも下落が激しくなっている。モメンタム株とは、ネット株やバイオ株など、業績よりも勢いで買われてきた銘柄のことを指す。

 ダウとNASDAQは昨年の7月まではほぼ連動した動きを見せていたが、その後、両者の乖離が始まり、NASDAQだけが急伸した。もしかすると、今回の下落は、ダウと乖離したNASDAQが平常状態に戻る動きなのかもしれない。またドルベースで見た日経平均は、NASDAQよりも早く下落を開始しており、その後のモメンタム株の動きを先取りしていると解釈することもできる。もしそうだとすると、しばらくすれば株価は落ち着くことになる(図2)。


当面は慎重なスタンスが賢明
 米国経済は順調に回復してきており、3月の雇用統計もまずますの結果であった。中長期的に見て米国株が下落すると考える人はあまりいない。だが、株価が景気拡大を先取りし過ぎていると考える人は多く、テクニカル的には近いうちに大幅な調整があるのではないかと見ている。つまり短期的な下落を絶好の買い場と考えており、皆がそのタイミングを狙っているわけである。

 その意味で今回の下落について、ひとつの買いチャンスとみなすことは可能だ。実際、モメンタム株の下落と入れ替わりに、高配当銘柄の上昇が目立っており、資金がこうした分野にシフトしていることが分かる。
 だが、一旦は下落したモメンタム株が、一定の時間を経ても回復しないという状況になると話は変わってくる。結局は高配当銘柄なども売られ、市場全体の下落につながってくる可能性も否定できない。

 そうなった場合、米国株の調整は長引く可能性が高く、日本株はその影響をモロに受けることになるだろう。米国株が高値圏にあることや、国内での消費増税の影響がまだ不透明であることをなどを考えると、このタイミングでは慎重なスタンスになった方が得策と考えられる。少なくとも米国株の動向を見極めてからでも遅くはない。

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