IMFがアジアの経済見通しを発表。中国依存の状況は変わらず

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 IMF(国際通貨基金)は4月29日、アジア太平洋地域の最新経済見通しを発表した。
 それによると2013年における同地域の実質GDP成長率見通しは2012年から0.45ポイント増えて5.75%になる見込み。停滞していた2012年と比較すると堅調な伸びが期待できるとしている。2014年の成長率はさらに伸びて6%になると予測している。

 IMFでは成長率増加の要因として、域内における失業率の低下、中国の信用回復、日本の積極的な財政出動などを挙げた。
 地域別では東アジアがもっとも成長率が高く、次いでASEAN各国、南アジアの順となる。中国の景気減速が叫ばれているが、相対的には中国が地域全体の経済成長を支えているという図式は変わっていない。

結局は中国の成長が全体のエンジンに
 アジア太平洋地域における3グループ(東アジア、南アジア、ASEAN)の中でもっとも成長率が高いのは東アジア地域である。同地域の2013年における成長率見通しは7.1%となっており、南アジアの5.7%、ASEANの5.5%を大きく引き離している。
 東アジアの成長は基本的に中国の影響が大きい。2013年における中国のGDP成長率は8.0%を見込んでいる。韓国の成長率は2.8%、台湾は3.0%、香港は3.0%となっており、経済規模を考えると東アジア地域の成長における中国の貢献度は極めて高いといえる。結局のところ東アジアはもちろん、同地域全体についても中国の成長に依存した格好だ。

 中国は習近平-李克強体制への移行に伴い、建設インフラ主導の高度成長から内需中心の安定成長への移行を模索している。成長率の目標は7.5%に設定しているが、現在のところはこの水準を維持できそうな状況となっている(図1)。


ASEANは横ばい、インドはようやく回復軌道に
 ASEAN各国は2012年の5.7%から0.2ポイント低下して2013年は5.5%の成長率を見込んでいる。ASEAN各国の中で、成長率の拡大が見込まれるのは、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、ベトナム、シンガポールなど。
 逆に、マレーシアは5.6%から5.1%と0.5ポイントの減少、フィリピンも6.6%から6.0%と0.6ポイント減少した。シンガポールを除くとミャンマー、ベトナム、カンボジアといった近年開発が進んでいる国の拡大が顕著となっている。

 南アジア地域の2012年における成長率は4.2%と低迷した。インドの成長率鈍化が主な要因だが、2013年の見通しでは状況が大きく改善されるとしている。
 インドは2010年に11.2%、2011年に7.7%と高い経済成長率を実現していた。だが世界的な景気減速とインフレ抑制を目的とした利上げが重なり景気が減速、2012年には4.2%と低迷していた。IMFではインドは回復局面に入っているとしており、2013年の成長率は1.5ポイント増加して5.7%に、2014年にはさらに成長が加速して6.2%になるとしている。
 インドの回復が鮮明になり、中国の8%成長が維持されれば、アジア地域全体の成長率にも弾みがついてくるだろう。

景気低迷リスクは少ないが、現状で停滞する可能性も
 IMFでは、欧州をはじめとする他の地域と比較して同地域の経済状態は良好であるとしている。だが同地域の新興国には、中所得国の水準で経済が停滞し、先進国の水準まで所得が向上しないリスクがあると指摘している。
 同地域は、経済状況が悪化する可能性は低いものの、他地域の新興国に比べてパフォーマンスが低下する傾向が見られるという。アジア各国が先進国の仲間入りを果たすためには、硬直化した労働市場の改革や人口動態への対応など各種改革が必要としている。

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