オバマ大統領の予算教書。防衛費の実質削減で財政均衡へ

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  オバマ米大統領は2013年4月10日、2014会計年度(2013年10月から2014年9月)の予算教書を議会に提出した。予算教書は大統領が議会に提出する事実上の予算案(正式には大統領は予算案を提出する権限を持っていない)。本来は2月頃に提出されるが、今年は財政をめぐる与野党の対立から提出が遅れていた。

 今回提出された教書では、社会保障関連費の伸びを抑制し、財政赤字を2023年度までにGDP比で1.7%に抑制するとしている。支出の大幅な削減を求める共和党にある程度妥協した内容となっているが、赤字抑制は富裕層向けの増税や防衛費の大幅な削減に依存している部分が大きく、共和党の賛同を得られるかどうかは微妙だ。

10年後に国債依存度は7.8%まで低下
 予算の総額は3兆7780億ドル(約370兆円)。歳入は3兆340億ドルなので財政赤字は7440億ドルとなる。予算総額に対する財政赤字の割合(国債依存度)は19.7%、財政赤字のGDP比は4.4%になっている。2013年度予算の財政赤字は予算総額の25%、GDPの6%あったことを考えると、財政収支はかなり改善することになる。

 4年後の2018年度には財政赤字は4750億ドルに、さらに2023年度には4400億ドルに縮小する見込み。財政赤字のGDP依存度は2018年度には2.3%に、2023年度には1.7%まで減少させたい意向だ。2023年の国債依存度は7.8%まで低下する見込み(図1)。

 日本の政府予算は支出の約半分が国債で賄われている。国債依存度が20%と聞くと非常に低いという印象だが、米国ではこれでもかなり高いと認識されている。1970年代の国債依存度は10%台で推移。80年代は20%台に上昇したが、90年代は再び10%台に低下している。小さな政府に対する志向が非常に強いことが分かる。

予算の半分を占める社会保障費
 教書で示された長期的な財政均衡を実現する手段としてオバマ大統領は、富裕層向けの増税やたばこ増税などを想定しており、社会保障費の給付を抑制することで全体のバランスを取りたいとしている。だが共和党は増税そのものに反対しており、現在のところ歩み寄りは見られない。
 一般的に論じられているこの構図だが、嘘ではないものの、必ずしも現実を100%表わしているわけではない。図2は連邦政府予算の用途別割合を示したものである。

 予算全体に占める社会保障費の割合は高く、22.9%に達する。これにメディケア(高齢者向け医療保険)とメディケイド(低所得者向け医療保険)を含めると45%になる。つまり連邦政府予算の半分近くが社会保障費なのである。この社会保障費は今後確実が増加が見込まれており、大幅に削減できる余地はない。

 つまり、社会保障費については増加を何とか抑制しようといことであって、絶対金額を削減するという意味ではない。実際、教書においても社会保障費は着実に増加する見込みとなっている。

 連邦政府予算で社会保障費の次に大きいのは防衛費であり、予算全体の16.4%を占めている。予算全体の伸びを大幅に縮小しようと考えた場合には、最終的には防衛費を大胆に抑制する以外に方法がないというのが実情なのだ。

防衛費は大幅減額で同水準を10年以上継続
 教書における国防総省管轄の予算額は約5900億ドルで、昨年度から5.6%の減額となっている(図3)。基本的にこの水準が今後長期間にわたって継続することになる。

 予算全体や社会保障費の伸びと比較すると実質的には大幅減額といってよい。同様に国土安全保障省も12.1%の減額だ。オバマ政権は防衛費を大幅に削減することで、財政均衡を達成しようとしている。

 全体的に見ても大幅増額となっているのは教育省、運輸省の二つのみ。オバマ政権は、道路や橋などの各種インフラ改修、教育支援制度の拡充、メンタルヘルス分野の強化などをうたっており、これらは予算案にも反映された形だ。
 またクリーンエネルギーの開発強化によってエネルギー省の予算も8.4%のプラスとなった。
 一方それ以外の多くの省では予算の削減となっている。住宅都市開発省や農務省、労働省の予算も軒並み減らされている。

 共和党は基本的に増税に反対しており妥協点を見出すのは困難といわれている。
 ただ、一部の共和党議員からは社会保障費の伸びを抑制するための措置が盛り込まれたことを評価する声もあり、オバマ大統領はこのあたりをテコに議会を説得したい考えだ。

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