株高と円安が同時進行。日米どちらに投資すべきか?

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 ニューヨーク株式市場は3月8日、14397.07ドルで取引を終了し4日連続で史上最高値を更新した。また同じ日に発表された米国の雇用統計では失業率が7.7%となり2008年12月以来の低水準となった。
 米国経済は堅調な個人消費を背景に緩やかな回復が進んでいたが、最大の懸念材料であった失業率が改善してきたことで、市場では強気の見通しが相次いでいる。ダウは近い将来2万ドルを突破するという景気のいい声も聞かれるようになってきた。
 日本でもアベノミクスへの期待感から株価が上昇しており、株式市場に個人投資家が戻り始めている。だが一方で経常収支が3か月連続で赤字になるなど、長期的な円安トレンドが始まりつつあるとの見方も濃厚になってきた。ドル高と好調な経済を背景にした米株に投資すべきなのか、国内株に集中すべきなのか、多くの投資家が判断を迫られつつある。

ドル安を考慮しても米株のパフォーマンスは良好だった
 まずは、リーマンショック前から現在までの米国と日本の株価の動きについて検証してみよう。図1は2006年1月を100とした時の、ダウ平均株価と日経平均株価の推移を示したチャートである。

 両者を比較すると、圧倒的に米株の方がパフォーマンスが高いことが分かる。リーマンショック以降、急激に円高が進んでいるので、その分は割り引いて考えなければならない。したがってチャートには円ベースでの株価も記載した。ドルベースよりもかなりパフォーマンスは落ちるが、それでも過去7年間は、米国に投資している方が圧倒的にパフォーマンスは良かったことになる。


 米株のパフォーマンスが良好だった理由は明確だ。米国の経済が順調に推移したからである。米国はリーマンショックの震源地でありながら、その影響が最も小さかった。日本や欧州、中国の方が米国よりもはるかに大きな影響を受けてしまったのだ。
 チャートの棒グラフは2006年を1.0とした時の名目GDPの数値である。米国は2009年以外は順調に成長を続けており、株価もそれに合わせて上昇している。これに対して日本はデフレが続いており、GDPの値も減少が続いている。株価が冴えないのはある意味で当然といえる。

株高だが円安。日本と米国どちらが有利なのか?
 昨年12月からの株高は、アベノミクスに対する市場の期待感によるものだが、GDPと株価の動きと比較すると、かなりの期待先行相場といえる。少なくとも、堅調な経済成長を背景にした米株よりもバブル度合が高いことは間違いない。

 もしアベノミクスの成長戦略が実体経済に効果を及ぼし、GDPの成長が株価に追い付いてくれば、日本も本格的な上昇相場を迎えることができるかもしれない。
 だが、そこで大きな問題となるのが為替である。日本の株高が継続するためには、米国の景気拡大と円安が必須の要件となる。もし米国の景気が順調に拡大すれば米国はドル高に舵を切る可能性が高く、さらに円安が進行するだろう。

 そうなると過去40年間続いてきた長期的な円高トレンドが逆転する可能性が高くなってくる。もし長期的な円安トレンドが続くことになれば、相対的な日本株のパフォーマンスは低下する。もし米株と日本株が同じ程度の株価上昇ということになれば、圧倒的に米株に投資している方が有利になるのだ。

 日本の個人投資家は、円が安くなっても日本株の上昇にかけるべきなのか、為替の影響を考え米株に投資すべきなのか判断を迫られることになる。

グローバル企業は為替の影響をあまり受けない
 投資する市場に加えて、それぞれの市場において内需株に投資した方がよいのか、外需株に投資した方がよいのかという、銘柄選定の判断も分かれるところだ。

 日本株であれ米株であれ、グローバルに展開する企業は有力な投資先となりうる。図2は建機メーカーとしてグローバルで競合しているコマツ(東証1部:6301)とキャタピラー(NYSE:CAT)の株価を比較したものである。図1と同様2006年の1月を100とした時の相対値で表わしてある。


 コマツとキャタピラーの株価の動きはよく似ている。現地通貨ベースでは、前半はコマツの方が、後半はキャタピラーの方がパフォーマンスが高い。だがこれを円ベースに統一してみると、両社の動きはほぼ同じになる。グローバル企業の場合には、その業績は世界経済の影響を大きく受けることになる。また市場が各国にまたがっているため、為替の影響も相殺されてしまう。結果的に市場に関係なくそのパフォーマンスは同じようなものとなる可能性が高い。
 為替の影響を好まない投資家は、どちらの市場であれ、グローバル企業を選定する方がよいだろう。

内需銘柄はより高いパフォーマンスを狙えるがリスクも大きい
 これに対して内需関連株の値動きは、その国の経済状況を色濃く反映することになる。図3は米国の小売り大手ウォルマート(NYSE:WMT)とセブン&アイ・ホールディングス(東証1部:3382)の株価を比較したものである。


 ウォルマートは、好調な米国の個人消費を背景に全期間を通して増収増益となっており、売上、利益ともに1.4倍になっている。株価は1.8倍に上昇した。
 一方、日本市場は人口減少とデフレに直面しており、小売店はその影響をモロに受けている。セブン&アイはリーマンショック以降、売上の減少が続いている(2013年2月期は若干の増益を予想)。株価もそれを反映し一時は6割以上も下落した。ここ3ヶ月の株高にも関わらずまだ4割下落したままだ。
 円高の影響を除外してもウォルマートとの差は歴然としている。円高が続いていたにも関わらず、ウォルマートに投資していた方が圧倒的に有利だったわけである。

景気回復を予想するなら米株もポートフォリオに加えるべき
 米国の株式市場は、これまで個人消費が堅調だったことから、ウォルマートをはじめとして、ホームデポ(NYSE:HD)、マクドナルド(NYSE:MCD)などの銘柄が好調だった。
 一方、世界的な景気低迷の影響を受けるGE(NYSE:GE)、ボーイング(NYSE:BA)などの株価は平均株価に比べて低迷していた。マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)やインテル(NASDAQ:INTC)などハイテク関連銘柄やAT&T(NYSE:T)など通信銘柄は横ばいであった。

 内需銘柄が割高になっていることや世界経済の回復も予想されることから、米国が今後、本格的な株価上昇相場に入れば、これまで割安に推移してきた銘柄の株価が見直されるとの予測もある。そうなるとドル高の効果も加わり、日本株よりも魅力的な投資対象となる可能性が高くなってくる。
 
 米国景気が足踏みし、日本経済だけが好調というシナリオはあまり考えにくい。もし米国経済の回復を予想するのであればもちろんのこと、世界経済の緩やかな回復を考えるのであれば、米国株のポートフォリオへの組み入れは真剣に検討すべき課題といえるだろう。

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